その昔は、インスタント食品と言えばボンカレーかカップヌードルだった。
派生商品はいろいろ出たが、令和になった現在でも業界トップシェアを走っているのだから大したものだ。だが、決して昭和のレトロさに浸っているわけではない。パッケージとネーミングは変わらなくても中身は進化し続けているのだ。
今とは異なり、当時はどちらも「手抜き食品」のイメージが強かった。僕は子供の頃は親が共働きで家にいないことが多かったので食事と言えば買い置きのボンカレーだった。独りでボンカレーを温めて頂く食事はこの上なく寂しいものだったし、いくらボンカレーと言えど毎週のように食べているとさすがに飽きてくる。だから、僕自身はインスタント食品にあまりいいイメージはなくて、社会人になって独り暮らしを始めた後はほぼ外食だった。
ところが、この前、久々に食べたボンカレーの美味さに感動してしまったのだ。何と言ってもレンジで調理できるようになっていることに驚いた。子供の頃の「寂しい食事」のイメージを覆すにはあまりあるものだった。文明は進化しているんだなあ、とそれからは毎週のようにボンカレーを食べる現在がある。
テレHも昔は寂しいイメージだった。その昔は彼女もおらずテレH掲示板で相手を探してテレHしていたものだが、空しさしか残らなかった記憶がある。いや、実際にテレHしている時はいいのだ。それなりに声の応酬で盛り上がる。しかし、通話が終わった後に訪れる寂しさは、子供の頃、一人でボンカレーを食べ終わった後の気持ちに似ていた。結局、何回かやっただけでその空しさに耐え切れずフェードアウトしてしまっていた。
だが、こうしてボンカレーと再会して真の魅力を知った今、ひょっとしてテレHにもボンカレーのように新しい魅力を発見できるのではないか?そう思い立った僕は数年ぶりにテレH掲示板にアクセスしてみたのだ。
ついさっき奧さんから「ボンカレーばっかり食べて私の手料理に不満なの!?」と怒られたところだ。その内「テレHばっかりして私とのセックスに不満なの!?」と怒られて離婚を切り出されないように気を付けようと思う。